|| Obertonreihe -MAYHEM-
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―どこだ? サイファーは周囲を見渡す。 先程から、このB7R―円卓に、妙な“音”が存在していることを彼は感じていた。 現在、円卓という舞台で“演奏されている”、この大編成の“戦闘”という楽曲の中に、譜面に書かれていない音が飛んでいる。 倍音。 奏でられた各音が、完全に調和したときにだけ現れる音。 おそらく、元々B7Rに配置されていた機ではない。…援軍か。 まだ姿を確認することはできない。だが、Su-27を2機落としたあたりからだ。確かに、いる。 もう一度、サイファーは空を見渡す。黒煙と白煙が混ざり合う空。 ピクシー機の赤い片翼が、はるか左上方に見えた。 瞬間、全身の毛が逆立つ感覚をおぼえた。反射的に機体を右へロールさせる。 と、今まで自分が居た位置を銃弾が薙いでいった。 息吐く暇もなくミサイルアラート。さすがにこの距離ではまずい。 チャフを展開、そのまま下方バレルロール。高Gに息が詰まる。 レーダーで敵機との距離を計る。drei、 アラート音の間隔が短くなる。zwei、 赤茶けた大地が眼前に迫る。eins、 jetzt! 一気に機首を引き上げインメルマンターン。 視界が暗くなり、意識を手放しそうになるが歯を食いしばって耐える。 放たれたミサイルが右翼の脇を掠めていく。 真正面に敵機。アラートは鳴らない。 ふいに敵機がロールする。ついてこい、とでも言うように進路を変えた。 翻ったさいに見えた姿は。 機体下面を黄色に染めたSu-37。 ―お前か、倍音! スロットルをMAXに叩き込む。 A/B点火。 F-15Cの双発エンジンが咆哮する。 ------------------- 初めて見たとき鳥肌立ちました→M10の彼 |